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沖縄タイムス 義足の島袋さん熱走/ツール・ド・おきなわ

051114.jpg沖縄タイムス
2005年11月14日(月) 朝刊 22面

義足の島袋さん熱走/ツール・ド・おきなわ
 過去最多の二千四百人が参加した「ツール・ド・おきなわ2005」。激しい風雨を突いて、サイクリストがやんばる路を走破した。両足が義足の男性は、レース部門に挑戦。完走はならなかったが、「次は必ず」と闘志を燃やした。沿道からは、大粒の雨にも負けない大きな声援が飛んだ。一輪車競技大会では、選手の卵たちが懸命に技を競い合った。

リタイアするも「次への一歩に」


 ペダルを踏みしめる左右の義足。ひざ下がしびれ、視界は高次脳機能障害の影響で二重になった。市民レース五〇キロ。今帰仁村仲尾の関門で、島袋勉さん(42)=那覇市=の走行は打ち切られた。ゴールまで残り約八キロだった。

 「最後まで走ると決めていたが、(大会関係者に)強く止められたので...」。制限時間をクリアできず、バスでゴールに戻った島袋さんは、悔しがった。

 四年前、千葉県で踏切横断中に転倒、意識を失ったまま列車にひかれ、両ひざの下から先を切断した。「気付けば病院のベットの上。シーツをめくったら、足がなかった」と振り返る。

 「苦手なことができれば、ほかは何でもできる」と、「自分の限界をつくらない挑戦」を思い立ち、昨年からフルマラソンを五回完走。ひざを完全に折り曲げられないため「一番難しい」と考えていた自転車競技に、今回初めて挑んだ。

 サイクリング部門ではなく、あえて厳しいレース部門を選んだ。ゴールでは、マラソンに必ず伴走する妹の栗田智美さん(38)、宣明さん(39)夫妻が「様子が分からないのがつらい」と、やきもきしながら待ったが、完走はできなかった。

 それでも島袋さんは「始めなければ次に進めない。目標達成に近づく大きな一歩になった」と、満足感も漂わせた。


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