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みやざき中央新聞 「子どもの聴き方、感じ方に学ぶ」

宮崎Ⅱ.jpg2008年1月14日 みやざき中央新聞掲載
「子どもの聴き方、感じ方に学ぶ」
 恩返しは「何でも喜んで引き受けること」
両足義足のマラソンランナー
㈱ラシーマ代表取締役 島袋 勉(沖縄県在住)

 いろんなところから講演に呼ばれるんですが、面白いのは小学校ですね。
 先生から「5,6年生の子どもたちにお話してください」って言われるので「1、2年生からでもいいですよ」って提案するんです。すると、「いやぁ、1年生はじっとして聴かないですから」って言われる。
 でも、1年生でもちゃんと聴けるんですよ。1,2年生っていうのは言葉で理解するのではなく、言葉が分からなくても僕の表情を見たり、声を聴いて感じようとしているんです。
 人って五感を使って感じ取ろうとするところがあって、小さければ小さい子ほどそういう聴き方をしてくれるので面白いなぁと思うんです。だから、話すほうも言葉で理解させようとしてはいけないんです。
 たとえば、大人は話がつまらなくても一応聴いているふりをしますよね。で、終った後、
「いやぁ、今日は貴重なお話をありがとうございました」なんて言う。どこがどうよかったのかなんて言わない。非常に抽象的な表現で褒めてくるわけです。
 子どもたちは、講演しているときには、「僕の話を聴いているのかな?」って思うんですけど、後で質問してみると、感じたことを具体的に言ってきます。
 また、興味がなかったらすぐそっぽを向きます。そういうときは、講演中に義足を外すんです。そうするとみんな興味を持って注目してきます。
 それから感じ方も、やっぱり大人とは全然違うなぁと思います。
 たとえば、大人は話を聴いたら、頭の中でもう一度考え直しますよね。「あのときは、ああ言っていたけど、本当かな?」とか。でも、子どもにはそれがない。子どもにはそれがない。子どもは,聴いたその時の印象がそのまま頭にインプットされてしまうところがあって、大人みたいに後から考えるというのがない。そのときに感じたことがすべてなんです。だから、子どもは思ったことをストレートに言うんですね。
 でも、6年生ぐらいになると大人と同じように、「これを言ったら相手に失礼にならないかなぁ」とか「これを言ったら恥ずかしいなぁ」という気持ちが先にくるような気がします。
 だから低学年の子であればあるほど、私は彼らから学ぶこと、感じることが非常に多い
です。
講演を始めたきっかけは、事故の後、いろんな人に支えてもらって自分が立ち直れたという気持ちがあったので、そういう人たちに何か恩返しをしたいと考えたんです。でも、皆さん、ちゃんとした生活ができている人たちばかりだったので、実際私にできることがなかった。
 その時、ハッと気がついたのは、人から何か頼まれたら断らないことにしようということでした。自分が必要とされているんだから、喜んで何でも引き受けようと。そのときはまさかこんな講演依頼が来るとは想定してなかったですけどね。
(講演で訪れた宮崎文化本舗・キネマ館でインタビュー/前号の続編です)

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