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みやざき中央新聞「今、子供たちに話したい。感じてもらいたい」   30年後の大人たちに・・・

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2008年1月21日 みやざき中央新聞掲載
今、子供たちに話したい。感じてもらいたい   30年後の大人たちに・・・

両足義足のマラソンランナー

㈱ラシーマ代表取締役 島袋勉(沖縄県在住)

 

 保険金が一円も支払われないっ!

 踏切事故だったんですけど、保険が一円も払われなかったんですね。

 私の場合、後遺障害もありますから、本来なら死亡と同じくらいの高額な保険金が払われます。さらに、入院期間も長かったので、死亡以上の保険金が払われるはずでした。でも、保険会社は「自殺目的だったのではないか」とか「これは事故じゃない」とか、いろいろ理由をつけてきました。

 ちょうど金融が自由化された時期で、金融機関も相当な危機感を持っていました。合併する保険会社もありました。また、「9・11」の後だったので保険業界としても大変な時期だったんでしょう。

 保険会社の担当者にきちんと説明して、しっかり調べてもらうと、最初は懐疑的だった担当者も、だんだん分かってくれて対応が良くなってくるんですね。どちらかと言えば、同情的になってくるんです。そしたらどうなるかというと、すぐに担当者が替わるんです。そうやってどんどん担当が替えられていきました。

 これはおかしいと思いました。利益のためなら企業は倫理観もないのか、と。

 最初はその理不尽さに悔しい思いを持っていたんです。でも、結果的に私は保険金をもらわなくて、たくさんの人に支えられて立ち直れたんですけど、それはそれで良かったと思っています。

 そのとき感じたのは一人ひとりの人間はいい人でも、組織になると、正しいことを主張できなくなるんだなぁということでした。それっておかしいですよね。

 でも、そういうことを組織の人に言っても遅いです。おかしいことは「おかしい」と言える社会にするためには、小さいうちから教えていかなきゃって思うんですね。

 だから、学校で講演することが本当に嬉しいんです。学校で講演をすると、子どもたちが感想文を書いて送ってきます。それがとっても嬉しい。だから続けています。

 子どもたちが大きくなって、「やっぱり理想と現実は違うんだなぁ」とため息をつくような大人になるんじゃなくて、「自分の思ったことをやり続ければ、どんなことでもできるんだ」と思える、そんな大人になってほしいという気持で話しています。そして、私の話を聴いて、子どもたちが「考える」という心を持って欲しいなぁと思っています。

 子どもたちが変れば社会が変るんですよ。それは今すぐというわけではない。すごく時間がかかると思います。今はこういう世の中だけど、この子たちが大人になる頃にはいいほうに社会が変ってほしいなぁという思いがあって、そのために今、どうすればいいのか、自分なりに考えたんですね。

 今、私の話を聴いた子どもたちが、たとえば、小学生であり、中学生であり、高校生であり、大学生もいるかもしれないけど、その子どもたちが大人になって、自分に子どもが生まれたとき、その子どもたちに「自分が思ったことをやり続ければ、どんなことでもできるんだよ」というような話ができたらいいなぁと思っています。

 だから、30年、講演活動を続けていれば、社会は変ってくるのではないかと思って、30年は続けたいと思って、今やっているんですけどね(笑)。

(講演で訪れた宮崎文化本舗・ミネマ館でインタビュー)

 

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