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「私生活から緩みが無いように」「練習で120%出すからこそ、試合で全力が出せる」

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「私生活から緩みが無いように」「練習で120%出すからこそ、試合で全力が出せる」

**********毎日新聞*********

元球児記者が行く:第85回センバツ高校野球 W球春・聖光学院/下 自主練習 試験前も欠かさず /福島

2月24日(日)

 ◇独自メニュー「上達の早道」

 試験前のため、聖光学院は、通常より早い午後3時に全体練習を切り上げた。「やっと終わった」と思ったら、選手たちがグラウンド脇に集まり始めた。全体練習の最後は、意思統一のため、ミーティングで締めくくる。
 「私生活から緩みが無いように」「練習で120%出すからこそ、試合で全力が出せる」--。円陣を組み、主力、補欠に関係無く、思いを語った。監督はおらず、選手だけの自主的な取り組みだ。伊藤颯(はやて)主将(2年)は「昨秋の県大会前、胸の内を互いにぶつけ合った。それで『裏表』が無くなった」と振り返る。
 解散後、記者(27)の「自主練するの?」との問いかけに、井原貴視選手(2年)は「当たり前じゃないですか」。本当の練習はむしろ、これからなのだ。
 チーム一小柄な、身長157センチの井原選手は「大きい選手と同じ練習ではレギュラーになれない」と、黙々とティー打撃を続ける。得意の守備に、打力を伸ばし秋季大会は打率5割。三塁手の定位置を守るため、自主練習は欠かせない。
 日没後の外野では、照明の下、内野手の西村大樹、園部聡の両副主将ら約10人が、別の選手からノックを受けていた。「あいつら、始めたら終わらないです」と、酒谷遼選手(同)。園部選手は昨秋の東北大会後、本来の一塁に加え三塁手の練習も開始。自主練習をノックに充てた。多い日は約600本に2時間かける。ノッカーの蛭田湧斗(ひるたゆうと)選手(同)は飽き足らない選手に、「振りすぎて、良い練習になった」とジョークを飛ばした。
 「ノック、もう入らないんですか」。園部選手に誘われ、記者も参加。「捕り方よくなりましたね」と、気遣ってくれた。「力が無いから練習量は負けない。最初は一塁もできなかったが、三塁もこなせる」との語り口に、自信がうかがえた。
 目標の選手の打撃フォームを動画で見て研究したり、一人ランニングに励んだりする選手などさまざまだ。石野佑太選手(同)は「自主練が一番うまくなる」。"練習の虫"には、異口同音に伊藤主将を挙げる。自主性が力をつけ、それが評価される。
 午後6~7時ごろ、自主練習は終わった。中には「寮でスイングします」という選手も。厳しいランメニューは明るく、ノックは緊張感に変わり、自主練習で独自メニューを考える--。練習を共にし、前向きさとまとまりの良さを実感した。

 「一日練習体験」を終えた記者は、心地よい疲労と共にグラウンドを後にした。ただ、数日間、太ももや腹筋など全身の筋肉痛に苦しんだのは、言うまでもない。【深津誠】

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