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みやざき中央新聞 何かアクシデントが起こったら「これからいい方向に向かうんだ」と思う

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2008年1月28日 みやざき中央新聞掲載

何かアクシデントが起こったら

  「これからいい方向に向かうんだ」と思う

両足義足のマラソンランナー

㈱ラシーマ代表取締役 島袋勉(沖縄県在住)

 

     保険金が一円も支払われないっ!

 私は、踏切事故で両足を失い、記憶障害とかあって、いろいろ大変だったんですけど、今思うと、「事故に遭ってよかった」とは思いませんが、「不幸なことだった」とも思っていないんです。

 だからいつも考えるのは、何かとんでもないアクシデントが起きたときには、「これからいい方向に向かうんだ」と捉えるように心がけているんです。

 あの事故の後、やっぱりいろいろネガティブなことも考えました。でも、体は動かないわけですから、どうすることもできない。ベットの中で本を読む以外に何もできない。

 それまですごく忙しくて本を読む時間もなかったし、「時間があれば、もっとゆったりしたいなぁ」って思っていたわけです。事故に遭うことで自分が一番欲しかったものが手に入ったような気がします。

 で、病室の中で本を読み始めたんですけど、なんせ記憶障害があるので、読んでも読んでも何も記憶に残らないんです。だから同じ本を何回読んでも新鮮だったんですけど、とにかく読み続けました。

 あと、義足を使い始めた頃は足が痛くて仕方がなかったんですけど、「何かいいことはないかなぁ」と思っていたら、ハッと気づいたのは、身長が伸びていたんです。元々の身長より10㌢くらい伸びていますので、足が長くなったんです。(笑)

 平坦な道を歩くときは意外と安定性もいいです。そんなふうにいいことを探し出すと楽しくなってくるんですよ。

 その他にも、私は旅行が大好きだったので、両足がなくなることで旅行もできなくなるのかなぁと思っていたら、事故に遭う前以上に旅行しているんですね。

 また、車も手動式じゃなくて、普通の車をどうしても運転したかったんですけど、それも出来ている。

 つまり、「障害者になったから、あれもできない、これもできなくなった」じゃなくて、逆にチャンスは増えているような気がします。

 だから、事故に遭ってよかったとは思わないんですけど、それを不幸なこととして考えるのではなくて、それをいい方向に生かしていこうといつも考えています。そうすると結構楽しいというか、いいこともたくさんあります。

 それは、子どもたちからも教えられますよ。小学校で講演すると、「怪我をしてよかったことはありますか?とか「事故に遭う前と事故に遭った後ではどちらが幸せですか?」とか質問してくるんです。普通、大人だったら考えない発想じゃないですか。

 「よかったことって何かなぁ。足が長くなって身長が伸びたことかなぁ」って答えています。

 あと、沖縄にはハブが多いんですね。以前は草むらを歩くとき、いつも噛まれないか注意していたんですが、今では全然不安がないですね。「噛めるもんなら噛んでみろ」っていう感じです。そういう気持ちで歩けるのもよかったことですね(笑)。

 そういうことでは、大事なことはどう考えるか、ということです。

(講演で訪れた宮崎文化本舗・キネマ館でインタビュー/終わり)


 

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