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読売新聞 目標持つ 大切さ 訴え 【東京マラソン 義足で完走】

読売2・19.jpg読売新聞 2008年2月19日掲載

目標持つ 大切さ 訴え

 東京マラソン 義足で完走 

  3万人以上の市民が参加した「東京マラソン2008」を完走したばかりの義足のマラソンランナー島袋勉さん(44)が18日、富士市広見本町の市立広見小学校で講演し、目標を持つことの大切さを訴えた。島袋さんは過酷なリハビり生活を振り返りながら、「ないものねだりをしない、言い訳をしない、悪いところを隠さない」と信条を語った。3~6年の児童ら約700人が熱心に聞き入った。

 沖縄県在住の島袋さんは2001年、列車事故で両足を失って義足生活になったが、社会復帰を目指し、04年にはホノルルマラソンを完走した。自動車関連会社を経営しながら、これまで15回のフルマラソンを走ったほか、昨年8月には富士山にも登っている。

 講演は、富士市周辺の沼津商業高校の卒業生でつくる「沼商ふじの会」(中西儀久会長)が主催した。

 島袋さんは事故後、長野県のリハビリテーションセンターに入る時、看護師から「運が良かったですね」と言われ反発を覚えた。「障害者になったことを認識し、とても悲しかった」

 一時は、5分前の記憶がないほどの記憶障害や、焦点が合わずに傾斜や段差が分からない目の障害にも苦しんだ。しかし、「周りの同情を期待しているだけだった」とリハビリを決意。

 バレーボール用のサポーターをひざに巻いて大きな靴を履いて歩く、何でもメモを取る、見えなくても感覚を覚えるーなど独自の工夫で克服した。今では「『命が助かって運が良かった』と言えるようになった」と、看護師の言葉の意味を理解したという。

 途中、島袋さんが義足外し、ひざの下が切断され赤く腫れた足をあらわにすると、目をそらす児童もいたが、義足の島袋さんと一緒に体育館を駆け回った。

 前回の東京マラソンでは、制限時間の7時間以内に走れず、歩道を走ってゴールにたどり着いたが、17日は6時間28分で見事完走した。島袋さんは「たくさんの沿道の応援をもらって気持ちよかった」と笑顔で感想を語った。質疑応答で今後の目標を問われ、「エベレストに登ること」と答えると、会場からどよめきが起きた。

 6年生の高橋寿枝さん(12)は「話を聞いて勇気をもらった。私もあきらめないで頑張って、いろんなことに挑戦したい」と刺激を受けた様子だった。

 島袋さんは20日まで、県内計6か所の小学校や公民館を回る予定。

写真:子供たちと競争する島袋さん(左、富士市立広見小学校の体育館で)

 

 

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