オキナワグラフ MAY.2009 今月の顔 島袋勉 vol.1
オキナワグラフ MAY.2009 今月の顔
8年前に大事故に遭い足にハンデを負いながら、マラソンや登山に挑戦している島袋勉さん。車の車検や修理を手掛ける株式会社ラシーマの経営責任を果たす傍ら、社会貢献活動として、講演要請がある機関・学校に出向いて講師を務めている。あきらめない姿勢を訴える、パワーに満ちた人生論を聞いた。
株式会社ラシーマ
代表取締役 島袋勉
"義足のランナー"として全国的に有名ですが、マラソンを始めるきっかけは。
島袋 私は8年前に電車事故に遭い、両足を失いました。事故直後何よりきつかったのは、歩行の練習でした。やらなければ筋力が衰えさらに状況が悪くなる。分っていても苦痛でした。しかし事故から2カ月後には、それを克服するためにあえて大きな目標を立てました。歩けない私にとって一番難しそうだと思うこと、それがフルマラソンだったのです。周囲に止められたのですが、それでもやってみたいと思いました。
私にとって目標や夢というのは、実現しなければ意味がないというものではなく、大事なのは、目標に近づき続けるプロセスそのものです。
最近は登山にも挑戦していらっしゃいますが。
島袋 平坦な道を難なく歩けるようになった私は、今度は足場の悪い道を克服しようと、あえて登山の挑戦を思いつきました。悪路を避けようとする自分が嫌でしたし、険しい山に登ることさえできれば、普通の生活を送る上で困難なことはないだろうと考えたのです。
2006年には、アンデス山脈にある標高6000メートルの山アコンカグアに登ってきました。万年雪をたたえたその山は、酸素も薄く道も険しい。さらに、気圧の影響で標高が高くなるにつれ体が膨らんでくるのです。約5000メートルの地点まで来ると、とうとう義足に足が入らなくなってしまい、これ以上登ると危険だというリーダーの判断で下山することになりました。そういう問題が起こることは、ほかの登山の専門家たちも予測できませんでした。
また一昨年には初めて富士山に登り、5合目から登頂しました。さらに昨年はふもとから5合目まで登り下山しました。今年はふもとから頂上へ、そして下山までしようと考えています。
トラックバック(0)
このブログ記事に対するトラックバックURL:
コメントする