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オキナワグラフ MAY.2009 今月の顔 島袋勉 vol.2

オキナワグラフ MAY.2009  今月の顔 島袋勉 vol,2

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                  株式会社ラシーマ 

               代表取締役 島袋 勉

講演会を始めたきっかけは。

島袋 事故後社会復帰してまず最初に、医療関係者や励みになるお話しをしてくださった方々に何か恩返しをしたいと思いました。しかし実際に何をすればいいのか思いつかない。悩んだ挙句、彼らの望みは私が立ち直ってしっかり生きることなのだろうと思えるようになりました。そのときに、「自分の体験を聞きたいという人がいたら断わらずにいよう」と決めたのです。

 最初の講演依頼は那覇市からのものでした。バリアフリーや障害者雇用について、当事者の立場から体験談を交えて話してほしいとのことで、当日は約150人の聴衆者が訪れ、その多さや反響にびっくりしたものです。これをきっかけに、企業や学校から声を掛けられることが多くなっていきました。

自分の経験を通して何を聴衆に感じ取ってもらいたいですか。

島袋 まず、自分のおかれた環境が恵まれたものであることに気付いてもらいたいのです。私は足がなくなって初めて、それまでよりも一層自分の体に感謝ができるようになりました。

 山へ登る理由の一つが、そこで日ごろの恵まれた環境が実感できるということでしょうか。例えば、普段私たちが普通に呼吸できること、水が飲みたいときに飲めること、また平坦なところで眠れるといったごく当たり前のことがいかに幸せなことかー。そういう機会がないと、私たちはついつい今の満たされている環境が当たり前になり、感謝の気持を忘れてしまいます。工夫すればできることも、「〇〇だからできない」といういい訳をつくってしまいます。

 小・中学校での講演会が終った後、感想文を送ってきてくれる児童や生徒が多く、うれしいものです。その中の一部を紹介すると、「今まで自分ができないと思っていたことは、ただやりたくないだけだったんですね」、「自分にとってすごく大きな悩みのつもりでしたが、話しを聞いた後、それは小さな問題だと気付きました」などなど・・・。子どもたちに言葉で「感謝しなさい」と言って聞かせてもなかなか伝わることではないと思います。だから私の講演を聴いて、「ああ、自分は幸せだ」、「やりたいことはなんだってできるんだ」と、肌で"感じとって"もらいたいのです。

子どもたちの意識の中に種をまいているのですね。

島袋 子どもたちには、夢に向かって地道に努力することの大切さを話していますが、これが将来、社会を変える力になると信じています。効果が現れるのは30年後くらいかもしれない。長い時間ですが、それでも世の中が変る一番の近道だと思うのです。

 私が好きな偉人は吉田松陰とガンジーです。松蔭は、小さな塾や牢獄の中でいろんな人たちに自らの思想を教え諭しました。「こんなことでは日本は変らないよ」とは考えなかったわけですよね。ガンジーにしても、インドが英国支配から独立さるために糸車を開発し広めましたが、きっとだれもが「そのくらいで世の中が簡単に変るはずがない」と思ったはずです。しかし、彼らは後世に名を残した。何事も、急激に変えるとどうしても大きな反動があります。やはり、大きな目標を持つにしてもまずやることは小さく地道な作業。時間と労力をかけて力を付けていくことが社会を変えることにつながると思うのです。私にとって彼らの生き方は理想です。

 人は指導者に大きく影響される。ですから、子どもたちに教育する大人が、身をもって見本を示さなくてはいけないと思います。 

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