少年登山チームへ。麓から初めて登頂した富士登山記録を掲載します
静岡県の少年登山チームメンバーより「両足義足で富士山に下から登ったんですか?僕達も今年の夏、下から登り山小屋で泊まって頂上をまで初めて挑戦します。・・・」
「島袋勉さんへ。本当に富士山に下から登ったんですか?」
「下から登るってどんなでしたか?教えてください」
登山学習の後に、メールが何通も届いていました。
要望のあった麓から初めて登頂した2008年8月の富士登山記録を掲載します。
では、静岡県少年登山チーム、それぞれの目標に向かってガンバッテ。
楽しみにしています。
★麓より富士登頂を目指してレポート (記録:栗田智美)
二合目から少し涼しい風が流れてきました。
木漏れ日の中ひたすら前進。
兄はどうすれば足の骨が軽減できるか?それだけを考えている様子。
四合目からお天気が崩れ出し、雨と風が・・・。
滑る足場を前進し続け、里見平まで!
2008年8月14日(木)am8:30 五合目の里見平★星観荘出発。
急斜面の岩場が続く中、汗をビッショリかきながらひたすら前進。
兄を見ていると自然に義足が動いているように見えるのですが、義足の足分は足首の機能も感覚も無いのですから重心移動の度に頭で考えながら次の足場を考え腕の力で一段一段。
気持ちで負けると、もう一歩も前進できないだろうな・・・と見ていました。
思うように義足が岩場から抜けなかったりバランスを崩しては独り言をブツブツ語りつつグルグル頭を回転させつつ前に腕を出して前進。
もうすぐ七合目!上を見て前進。
ゴツゴツした大岩の後は小さな岩がとても嬉しそう。
足の痛みと暑さ。急に霧が発生。それでもしっかり一歩一歩前に。
七合目を過ぎると、更に課題がたくさん。岩も不安定・・・。
義足のソケットの中の断端部は真っ赤。 標高が高くなると義足の中の足も脹らんでくるようです・・・。
頭をグルグル回転させながら、どうやれば義足のソケットの中の骨の痛みを軽減させられるか?の重心移動。八合目を過ぎると断短部が脹らんできて、義足を脱ぐともう入らないかもしれないので、脱がずに前進。
だんだん空に近づく。八合目を過ぎると気温が下がる。義足のライナーを脱いで汗を拭きたいようですが、脱ぐと脹らんだ足が入らなくなるので、八合五勺の御来光館を目指して上へ。
ソケットから断端部を出せないまま、圧迫され痺れた状態で前進。 ソケットに断端部の骨があたり激痛で兄(島袋勉)の頭は朦朧としている様子。
腕の力で一歩一歩前へ進み続け予定通り無事 八合五勺の上にある御来光館へ到着。
8月15日(金)am1:10八合五勺の山小屋「御来光館」から頂上に向けて。
お友達と日の出の前に富士山頂で会う約束をしていましたので、早々と出発。
兄(島袋勉)は義足を脱いで足を休ませたので激痛はかなり回復し、元気に暗闇の足場の悪い中をヘッドライトの光りで前進。
am2:28に真っ暗な強風の吹く富士山頂に無事到着。
強風にあおられ真っ直ぐ立つのがやっと。日の出まで待機できる場所を探し、寒さ対策をあれこれと工夫し考える兄(島袋勉)と私(栗田智美)。
友人とも無事に頂上で会えました。
am4:50頃からうっすらと独特の色の光り。そして美しい日の出。
畏怖の念を感じる大空と雲そして太陽の輝きでした。
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