苦難を顔に出さない,苦労を見せない楽しい笑顔とても好きです
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わたしも"なでしこジャパン"のこれまでの苦難を顔に出さない,苦労を見せない楽しい笑顔とても好きです。
楽しむからこそ、笑顔になりいい動きができると思います。
******Nember Web******
W杯を笑顔で勝ち取った佐々木監督。"なでしこマネジメント"5つの法則。
なでしこたちの練習を見ていて、印象に残るのは楽しそうな笑顔と笑い声だ。
現地ドイツで見るテレビのニュースでも、使われている映像は楽しそうに駆け回るシーンばかりだったから、よほど印象的なのだろう。プレッシャーに押しつぶされそうになることもあり得る大舞台で楽しく練習出来る、自由でのびのびとした空気は今回のチームの特徴だったのではないか。
佐々木則夫監督はいかにして、そのような空気感を作り出したのか?
大会中の指導方針から、その術を探ってみることとしたい。もしかしたら、我々の社会生活に活かすことのできるヒントが隠されているかもしれない。
■なでしこマネジメント ~その1~ 会わない日をつくる。
試合翌日、佐々木は主力組の練習には顔を出さないのだそうだ。
「べつに毎日オレの顔見たくもないだろ?」
と言うのがその理由のひとつ。
代表の合宿中は、基本的に団体行動でプライベートなどほぼない。例えば今大会メンバーは、6月14日に集合して以来7月18日に解散するまでずっと集団行動を余儀なくされていた。ひとつの宿舎で寝泊まりし、食事も一緒。練習には全員が一台の貸し切りバスに揺られて向かう。息が詰まることだってあるだろう。だからこそ、会わない日は重要なのだ。
「監督はオンとオフのはっきりしている人ですね。試合翌日のトップの練習には顔を出さないって言われてみて気づいたんですけど、確かに毎日顔見る必要ないですね(笑)。でも、そういう気遣いはありがたいですね」(岩清水梓)
と選手からも好評だ。
確かに、何事においても長く良好な関係をキープするためには適度な息抜きは必要である。
■~その2~ 話はじっくり聞く/きちんと伝える。
敗れたイングランド戦後、澤穂希が「練習量が多いのでは? みんな疲労がたまって試合では動けなかった」と相談をもちかけた。
佐々木は話を聞いた上で練習量が多くなっている理由を説明し、さらにプレーの例を挙げ「それを言い訳にするな」と話したのだそうだ。
練習量の相談などされたら、不愉快に思う指導者は少なくないだろう。佐々木は頭ごなしに否定するのではなく、一旦受け入れ、その上で意見を伝えている。相互に意見を交わしてこそのコミュニケーションを大舞台のさなかにも取っている。
そして、伝えなくてはいけないことはなんとしても伝える。
決勝でPK戦に入る前の円陣でのこと。佐々木は「自分はリラックスしている。このPK戦をもうけものだと思っている」と選手にどうしても伝えたかった。
「なにかギャグのひとつでも言いたかったんだけどね。どうしてもでてこなかった。だから笑顔で伝えるしかなかったから、笑顔をふるまったんだよ」
意思伝達の手段はなにも言葉だけではないのだ。
■~その3~ 21人を平等に扱う。
今大会中、準々決勝の丸山桂里奈、準決勝の川澄奈穂美とベンチスタートの選手が日替わりで結果を残した。
その理由のひとつに、佐々木が控え組の練習を見る日を作っていることがある。
選手はやはり監督に直接指導を受けているほうがモチベーションが上がるもの。例えばJリーグでも公式戦翌日の控えなど若手主体の練習試合などでコーチが指揮を執り、内容を監督に報告するというスタイルで行うチームもあるが「監督が見ていないと、モチベーションが変わる」と話す選手も少なくない。
川澄は言う。
「試合に出たくても出る選手を決めるのは監督。だからいつ試合にでても良いように、練習から試合のつもりでやっている。急に試合に出されたからって緊張などしない」
特段変わったコメントでもなく、ありきたりなセリフだ。だが、彼女たちがワールドカップという檜舞台で言葉通りの活躍ができたのは、日頃から指揮官が見ていてくれているという、そんな信頼関係があったからなのだ。
■~その4~ 少しくらい鈍感でもいい。
佐々木はなでしこたちを成熟した人間の集団であるとリスペクトしている。
その上で言う。
「ちょっとやそっとじゃあいつらに話をしても動いてくれない。試合中なんて、ベンチの遠吠えっていう感じだよ」
スウェーデン戦では川澄が自らのポジションを「変えたほうがいいのではないか?」と提案してきたのだそうだ。
仮に、繊細な神経を持つ指導者だったら、傷ついてしまうかもしれない。「それはベンチが考えるから、お前らはプレーしろ」と言い返してしまうパターンもよくある。選手からそんな提案を受けたんだよと、報道陣にあっけらかんと話すことなどできない指導者がほとんどのはずだ。
佐々木には、ある種の鈍感さが備わっているように見えるし、そのおかげでむしろ、選手たちが大胆になれているようだ。
■~その5~ 自分も楽しむ。
3年前の北京五輪では4位どまり。今大会はメダル獲得を狙っていた。
準々決勝で優勝候補のドイツを倒してしまっていたので、北京を超えるための準決勝・スウェーデン戦へのメンタルコントロールは難しかったはずだ。
だが、リラックスしていたのは佐々木だった。
ドイツ戦翌日、控え組だけのトレーニングがやけに長かった。響く楽しそうな声の主は、スタッフとサッカーに興じる佐々木のものだった。元気にボールを蹴ってはいるが、そこはやはり現役選手のものとは違う。
「少々お見ぐるしいところを見せまして......」と報道陣に照れくさそうに笑顔を見せた。
優勝した当日の深夜は、相当にアルコールを口にしたようだった。翌朝は、「ええ。たくさん頂きました」とほろ酔い気味に登場。渋い顔をする広報担当者のよこで「こりゃまた怒られちゃうな」と笑顔を見せた。
佐々木はいつでも、自分が楽しむことを忘れない。だからこそ、選手たちはあれだけ楽しそうだったのかもしれない。
(「なでしこジャパン特報」了戒美子 = 文)
現地ドイツで見るテレビのニュースでも、使われている映像は楽しそうに駆け回るシーンばかりだったから、よほど印象的なのだろう。プレッシャーに押しつぶされそうになることもあり得る大舞台で楽しく練習出来る、自由でのびのびとした空気は今回のチームの特徴だったのではないか。
佐々木則夫監督はいかにして、そのような空気感を作り出したのか?
大会中の指導方針から、その術を探ってみることとしたい。もしかしたら、我々の社会生活に活かすことのできるヒントが隠されているかもしれない。
■なでしこマネジメント ~その1~ 会わない日をつくる。
試合翌日、佐々木は主力組の練習には顔を出さないのだそうだ。
「べつに毎日オレの顔見たくもないだろ?」
と言うのがその理由のひとつ。
代表の合宿中は、基本的に団体行動でプライベートなどほぼない。例えば今大会メンバーは、6月14日に集合して以来7月18日に解散するまでずっと集団行動を余儀なくされていた。ひとつの宿舎で寝泊まりし、食事も一緒。練習には全員が一台の貸し切りバスに揺られて向かう。息が詰まることだってあるだろう。だからこそ、会わない日は重要なのだ。
「監督はオンとオフのはっきりしている人ですね。試合翌日のトップの練習には顔を出さないって言われてみて気づいたんですけど、確かに毎日顔見る必要ないですね(笑)。でも、そういう気遣いはありがたいですね」(岩清水梓)
と選手からも好評だ。
確かに、何事においても長く良好な関係をキープするためには適度な息抜きは必要である。
■~その2~ 話はじっくり聞く/きちんと伝える。
敗れたイングランド戦後、澤穂希が「練習量が多いのでは? みんな疲労がたまって試合では動けなかった」と相談をもちかけた。
佐々木は話を聞いた上で練習量が多くなっている理由を説明し、さらにプレーの例を挙げ「それを言い訳にするな」と話したのだそうだ。
練習量の相談などされたら、不愉快に思う指導者は少なくないだろう。佐々木は頭ごなしに否定するのではなく、一旦受け入れ、その上で意見を伝えている。相互に意見を交わしてこそのコミュニケーションを大舞台のさなかにも取っている。
そして、伝えなくてはいけないことはなんとしても伝える。
決勝でPK戦に入る前の円陣でのこと。佐々木は「自分はリラックスしている。このPK戦をもうけものだと思っている」と選手にどうしても伝えたかった。
「なにかギャグのひとつでも言いたかったんだけどね。どうしてもでてこなかった。だから笑顔で伝えるしかなかったから、笑顔をふるまったんだよ」
意思伝達の手段はなにも言葉だけではないのだ。
■~その3~ 21人を平等に扱う。
今大会中、準々決勝の丸山桂里奈、準決勝の川澄奈穂美とベンチスタートの選手が日替わりで結果を残した。
その理由のひとつに、佐々木が控え組の練習を見る日を作っていることがある。
選手はやはり監督に直接指導を受けているほうがモチベーションが上がるもの。例えばJリーグでも公式戦翌日の控えなど若手主体の練習試合などでコーチが指揮を執り、内容を監督に報告するというスタイルで行うチームもあるが「監督が見ていないと、モチベーションが変わる」と話す選手も少なくない。
川澄は言う。
「試合に出たくても出る選手を決めるのは監督。だからいつ試合にでても良いように、練習から試合のつもりでやっている。急に試合に出されたからって緊張などしない」
特段変わったコメントでもなく、ありきたりなセリフだ。だが、彼女たちがワールドカップという檜舞台で言葉通りの活躍ができたのは、日頃から指揮官が見ていてくれているという、そんな信頼関係があったからなのだ。
■~その4~ 少しくらい鈍感でもいい。
佐々木はなでしこたちを成熟した人間の集団であるとリスペクトしている。
その上で言う。
「ちょっとやそっとじゃあいつらに話をしても動いてくれない。試合中なんて、ベンチの遠吠えっていう感じだよ」
スウェーデン戦では川澄が自らのポジションを「変えたほうがいいのではないか?」と提案してきたのだそうだ。
仮に、繊細な神経を持つ指導者だったら、傷ついてしまうかもしれない。「それはベンチが考えるから、お前らはプレーしろ」と言い返してしまうパターンもよくある。選手からそんな提案を受けたんだよと、報道陣にあっけらかんと話すことなどできない指導者がほとんどのはずだ。
佐々木には、ある種の鈍感さが備わっているように見えるし、そのおかげでむしろ、選手たちが大胆になれているようだ。
■~その5~ 自分も楽しむ。
3年前の北京五輪では4位どまり。今大会はメダル獲得を狙っていた。
準々決勝で優勝候補のドイツを倒してしまっていたので、北京を超えるための準決勝・スウェーデン戦へのメンタルコントロールは難しかったはずだ。
だが、リラックスしていたのは佐々木だった。
ドイツ戦翌日、控え組だけのトレーニングがやけに長かった。響く楽しそうな声の主は、スタッフとサッカーに興じる佐々木のものだった。元気にボールを蹴ってはいるが、そこはやはり現役選手のものとは違う。
「少々お見ぐるしいところを見せまして......」と報道陣に照れくさそうに笑顔を見せた。
優勝した当日の深夜は、相当にアルコールを口にしたようだった。翌朝は、「ええ。たくさん頂きました」とほろ酔い気味に登場。渋い顔をする広報担当者のよこで「こりゃまた怒られちゃうな」と笑顔を見せた。
佐々木はいつでも、自分が楽しむことを忘れない。だからこそ、選手たちはあれだけ楽しそうだったのかもしれない。
(「なでしこジャパン特報」了戒美子 = 文)
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