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ありがとう! 石巻工ナインのあきらめない姿勢 復興の力

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ありがとう! 石巻工ナインのあきらめない姿勢 復興の力

*****ディリースポーツ****

石巻工、逆転負けも被災地に届けた「笑顔」と「あきらめない気持ち」

石巻工、逆転負けも被災地に届けた「笑顔」と「あきらめない気持ち」
グラブと帽子を置き、石巻工ナインと両手で握手をする神村学園ナイン(撮影・吉田敦史)
 「選抜高校野球・1回戦、石巻工5-9神村学園」(22日、甲子園)

 東日本大震災で被災し、21世紀枠で出場した石巻工(宮城)は、神村学園(鹿児島)に5‐9で敗れた。終盤に突き放されたものの、一時は4点差を逆転。持ち前の粘りを見せ、笑顔と全力プレーを被災地に届けた。九州学院(熊本)は女満別(北海道)を、高崎健康福祉大高崎(群馬)は天理(奈良)を破り、2回戦に進出した。

 宝物のような時間だった。阿部翔人主将(3年)の目は、涙でぬれていた。「『ありがとう』って言ってくれて。それがうれしくて」。試合中も聞こえていたスタンドからの言葉。被災地に元気を届けるべく、石巻工ナインが聖地を全力で駆け回った。

 あきらめない‐。チームの代名詞を体現したのは、4点を追う四回だ。集中打で2点を返すと、地鳴りのような応援に押されたのか、2死満塁からの8番・伊勢のゴロを遊撃手がまさかのトンネルし、3走者が生還。一挙5点で逆転した。

 背負ってきたものと一緒に戦った。適時打を含め3安打した阿部主将は、震災で少年野球のチームメートだった木村優斗君を亡くした。大舞台での固め打ちに「見えないものが背中を押してくれた。アイツも一緒に打ったと思う」と、亡き友の存在を実感した。同様に大切な存在を失った人も多くいたアルプスからの大声援も、無形の力となって猛反撃につながった。

 選手は最後まで約束を忘れなかった。笑顔を忘れず全力でプレーする。ベンチではお互いが顔を指さし「笑おう」と言い合った。それが選手宣誓でも触れた「答えのない悲しみに暮れている方」への、何よりのメッセージになると考えたからだ。再逆転を許して試合には敗れたが、松本嘉次監督(44)も「十分に見せてくれた」とあきらめない姿勢に目を細めた。

 1年前の3月22日。野球部は震災後初めて集まり、ヘドロだらけのグラウンドを片づけ始めた。同じ日、甲子園で戦ったナインは土を持ち帰った。「それを見てまた頑張ろうと思う。夢の舞台で野球ができてよかったけど、まだ終わりじゃない。またここに来たい」と阿部主将。これからも復興の力になる‐。石巻工の新たな挑戦が始まった。
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