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厳しさを併せ持った山

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 連絡をどうもありがとうございます。

確かに私も遠くから見る富士山は優しく美しく感じていましたが,登ると厳しく感じました。

その厳しさを経験すると,他の厳しさや生活上の義足の中の足の痛みが小さく思えるような感じがしてまた,挑戦したくなるのです。

 ********読売新聞*******

一瞬のご来光 富士山山開き

一瞬だけご来光を拝められ、万歳する外国人登山者ら(1日午前4時30分、富士山山頂で)=守谷遼平撮影

 富士山(3776メートル)は1日、山開きを迎え、頂上で約30人の登山者がご来光を拝んだ。山頂付近は1日未明から強い風と横殴りの雨に見舞われたが、朝日が一瞬差し込み、待ち続けた登山者を喜ばせた。

 午前4時半ごろ。日の出の時間になっても雲が切れず、登山者からは「もうだめか」という声も聞こえ始めた時、一瞬赤い光が雲の隙間から出現。この瞬間を待っていた登山者は「おおー」と声を上げ、一斉にカメラを向けた。

 ご来光は数回差し込んだが、いずれも数秒間で厚い雲に覆われた。それでも登山者は目に焼き付けようと日の出の方向をじっと見つめ続けていた。初めてご来光を見たという東京都府中市是政の大工、岡本耕一郎さん(47)は「暗闇で足元が見えない登山道を登るのはつらかった。雲が空を覆う中、少しだけ見えたご来光に感動した」と笑顔だった。

◇厳しくも美しい山 記者ルポ

 午前2時。ご来光の時間まではあと2時間半あったが、混雑を予想して早めに山頂に到着した。吹き荒れる強い風を遮るものは岩しかない。太陽が出てくるまで岩陰に座り込み、じっと身を潜めることにした。

 長野県出身で入社1年目の記者にとっては初めての富士登山。「美しくて優しい山」という印象を抱いてきたが、実際に登った富士山はとてつもなく厳しかった。

 8合目の山小屋を出発したのは6月30日午後11時半。9合目付近で風が強くなり始め、雨も降り出した。手袋がぬれ、手がかじかむ。体力が奪われていくのを感じた。急峻(きゅうしゅん)な岩場を越えたかと思うと、すぐに次の岩場が出現。頂上に近づくにつれて空気は薄くなり、息が苦しくなる。富士山に拒まれているようにさえ思える。

 しかし、最もつらい試練が最後に待っていた。山頂でご来光を迎えるまでの時間。強い風が吹き続け、雨も激しさを増す。体の震えが止まらない。気温は3~4度だったが、体感温度では氷点下に感じた。

 日の出の時間になっても山頂は雲に覆われたまま。諦めて下山するツアー客もちらほら。記者も諦めて下山しようとした時、厚い雲の間から一筋の赤い光が一瞬差し込んだ。「出た!」。登山者とともに大声を上げ、喜びを爆発させた。

 厳しさを併せ持った山――。富士山を下山中に振り返って見た時には、さらに美しさが増したように見えた。(百瀬翔一郎)

2012年7月2日 読売新聞)
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