« 前へ | トップページ | 次へ »

災害時のIT活用 今後の課題について。

[ ]

災害時のIT活用 今後の課題について。

課題が明確になっていくのは素晴らしいことだと思います。

*************NHK****************

災害時のIT活用を議論

東日本大震災の際の特徴的な動きの1つに「インターネットの活用」がありました。
震災発生後、個人・団体、官・民を問わず、さまざまな立場や環境の人がインターネット上で自発的に動き始めました。
「ライフラインの情報を集めて整理するサイトの構築」、「被災地の交通状況を地図にまとめる動き」、「被災者が必要とする物資の希望を集約し、送り届ける活動」...。
数多くのサイトやサービスが一気に登場しました。

ニュース画像

今回、仙台で開かれた国際会議「bigtent」は、こうした事例を踏まえて、今後のさらなる活用を議論しようというものでした。
会議には、ツイッターやアマゾンといった国際的IT企業、それに日本からもNTT東日本やドコモ、大学の研究者などが参加しました。

"こたつ"でクライシスレスポンス

会議を主催したのは「グーグル」。
この巨大企業も、東日本大震災では緊急対応を迫られました。
グーグルは、ハリケーン「カトリーナ」やハイチの地震といった大災害を経て、緊急時に社を挙げてさまざまなサービスを提供する「クライシスレスポンスチーム(危機対応チーム)」を作っていました。

ニュース画像

去年3月11日の地震発生後、グーグルは、まず、安否検索システム「パーソンファインダー」の提供に乗り出します。
日本語版が立ち上がったのは、地震発生から1時間46分後でした。
その後、自治体・警察から情報を得て、検索の基になるデータを増やしていき、NHKなどマスメディアの安否情報とも連携します。
さらに、避難所に張り出された名簿から得た情報も入力し、最終的には67万件もの安否情報が集まりました。
このとき、東京・六本木のグーグル日本法人でエンジニアなど社員たちが集まった場所が、フロアにあった「こたつ」の周辺。
情報の共有や作業のため、自然とこの「こたつ」を目印に集まるようになり、ここで「クライシスレスポンス」にあたったそうです。

ニュース画像

そして、3月13日には被災地の衛星写真を公開。
津波の被害がどの範囲まで及んでいるか、どの橋が通れなくなっているか...。
復旧支援に必要な地理情報を提供しました。
このほか、自動車メーカーと協力して「通れる道路」を示すマップを作成したり、地上の車から被害状況を撮影して「ストリートビュー」で公開したりしました。
今後、グーグルは、携帯電話会社やガス会社などと協力して、どのライフラインが利用可能か、地図上に表示する取り組みを災害時に提供するとしています。

災害時の公的機関とIT企業との情報共有

ニュース画像

今回、仙台で開かれた国際会議にはグーグル本社からも幹部が複数出席しました。
このなかで、エンジニアリング部門担当のブライアン・マクレンドン副社長は「ハイチ地震や東日本大震災の経験からいろいろなことを学んだ。次の災害に備えてさまざまなツールの改良が必要だ。特に、政府が質の高いデータをオープンにすることが重要だ」と述べました。
災害時には、政府や公的機関が被災者やライフラインに関する情報をオープンにして、IT企業などと共有することが必要だと主張したのです。
確かに、災害時に安否確認やライフライン情報のサイトが多数乱立すれば、利用者はそれぞれのサイトにアクセスして確認しなければならなくなります。
実際、東日本大震災では安否確認手段が、「グーグルのパーソンファインダー」、「NTTの災害伝言ダイヤル」、「携帯各社の災害用伝言板」、「自治体の情報」など多岐にわたり、親類や友人が無事かどうか、いくつも確認しなければなりませんでした。

災害情報、共有化の課題

もし、こうした災害時の情報が集約され、アクセスしやすくなれば、利便性は高まります。
しかし、そこには課題があります。
会議の中でも重要なテーマになりました。
まず、「情報提供フォーマット」の問題。

ニュース画像

東日本大震災の発生後、東京電力は計画停電を実施しましたが、当初、地域分けなどの情報をPDF形式で発表。
アクセスが殺到して閲覧しづらくなったほか、2次利用が難しいという声が多数上がりました。
同様の「フォーマット問題」は「タイ大洪水」の際にも起こり、政府の提供フォーマットが原因で2次利用がしにくいと問題になったことが報告されました。
今後は、災害時に速やかに情報を取り出しやすいように、フォーマットを共通化することや書き込む項目の共通化を図るべきだという意見が出ています。
次に、「プライバシーや著作権の問題」。
誰が無事でいるかどうか、携帯電話のGPS搭載機能を基にした「どこにいるか」というデータ...。
こうした情報をどう扱ったらよいのでしょうか。
会議でも、災害時に有益な情報を集めて公開するために、こうした課題をクリアする必要があるという意見が相次ぎました。

官民で協議

ニュース画像

実は、このような「災害時の情報共有」の課題を巡っては、すでに日本政府とIT企業各社でつくる協議会で議論が進んでいます。
ことし春に発足した「IT防災ライフライン推進協議会」。
グーグルをはじめ、ツイッター、マイクロソフト、ヤフー、通信事業者などが参加しています。
協議会が6月28日に打ち出した「基本方針・アクションプラン」では、▽行政機関からの情報は2次利用が可能なフォーマット形式にする、▽民間ボランティアによる避難情報や捜索情報を一元化し、迅速な情報提供を可能にする、▽民間の"草の根情報"も活用、▽民間事業者が保有する個人情報の保護への対応を引き続き検討する、ということを挙げています。
これらは、来年の夏までの実行を目指し、早期にできるものは実行するとしています。
災害時に必要とする人が必要な情報を得られるように。
テクノロジーの進歩とともに、「情報をどう扱い、どう共有するか」という運用面の課題解決が、今後の大きなテーマになりそうです。

ご感想やメッセージを、コメントやトラックバックでお気軽にお寄せください。

トラックバック(0)

このブログ記事に対するトラックバックURL:

コメントする

プロフィール

講演依頼を希望される方へ