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「世界のどこかで戦争が起きている限り、心の安らぎが持てない」

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「世界のどこかで戦争が起きている限り、心の安らぎが持てない」加藤治子さんの言葉は本当だと思います。
    ******************琉球新報*****************
<金口木舌>戦争を見つめた母
2015年11月11日 

 「優しい昭和の母」が逝ったとスポーツ紙は伝えた。テレビドラマの母親役が記憶に残る。女優加藤治子さんの訃報である。「昭和の母」の素顔は戦争の痛みを知る女性だった

▼11年前に話を伺った。「戦争が終わった気がしない。日本全体が戦争を引きずっている感じがする」という言葉が忘れ難い。悲惨な戦場体験に苦しんだ夫を思い浮かべていたのだろう
▼1953年、夫の加藤道夫さんは心を病み、自ら命を絶った。新進の劇作家は、戦地ニューギニアでの体験を「人間喪失」と書き残した。「私が至らなかった。苦しみを分かってあげられなかった」と妻は自らを責めた
▼沖縄には足が向かず、仕事も断った。それでも「私も戦争体験者。無関心ではいられなかった」。目取真俊さん原作・脚本の映画「風音」(東陽一監督、2004年)への出演のため沖縄の地を踏んだ
▼特攻で恋人を失った藤野志保を演じた。「志保と自分が重なる。同じ時代を過ごしたのでよく分かる」とうなずいた。演技を通じて夫を苦しめた戦場や自らの青春と向き合ったのであろう
▼「世界のどこかで戦争が起きている限り、心の安らぎが持てない」と語った。「沖縄の人はしっかり大地を踏んで生きている。ごまかしのない目でものを見ている」とも。戦争を見詰めて歩んだ92年の人生を終え、「母」は静かに旅立った。
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