宮古毎日新聞 人権週間講演会「夢と希望、なくさない」
「夢と希望、なくさない」
両足義足の島袋勉さん マラソン完走の歩みを語る
人権週間にちなむ講演会が5日午後、ゆいみなぁで行われた。両足義足でフルマラソンを完走した那覇市出身の島袋勉さんが講演を行い、両足を失ってから今日に至るまでの歩みを語った。島袋さんは「私は両足をなくす事故で、どんな状況にあっても明るい夢と希望を持つことの大切さを学んだ」と話し、常にポジティブな姿勢で人生を切り拓くよう説いた。
島袋さんは、2001年の踏切事故で両足とも膝下10㌢以下を切断。当初は「歩けるなんて想像することもできなかった」と言うほど落ち込んだが、懸命なリハビリで社会復帰を果たす。その後、04年には「両足義足では不可能」と言われたホノルルのフルマラソンに挑戦し、激痛を乗り越えて完走した。
「なぜ自分だけこんなことに...」と悩んだ時期、母親に「こんな痛い思いをして何も学ばなければお前はばかだよ」と言われたことを紹介した。この言葉を考えた末、今まで同情を求めていた自分に気付いたという。
それ以来は①ないものねだりはしない②言い訳をやめる③自分の悪いところを隠さない-ことを決意。「悩むことは時間の無駄。今この身体でできることを実践し、前に進んでいこう」と決めた。
意識の変化に伴って行動も変わった。1日でも早く歩けるように全国各地の義足情報を集めたり、靴のはき方を工夫するなどあらゆる努力を続けた。この結果、04年のホノルルマラソンを完走。沿道に立つ市民の応援、出場者の励ましによってゴールにたどり着けた喜びと感動を語った。
島袋さんは「『もうできない』と思ったら終わってしまう。その時点で人はあきらめてしまう」と指摘。「だから明るく将来の夢を語ることが大切。夢や希望をなくしたら不幸になる」と話し、目的を失わない精神力と継続する力の大きさを重ねて強調した。
両足義足で、しっかりと舞台を歩き回りながら話す島袋さんの姿に聴衆はくぎ付け。島袋さんの体験の数々に驚き、自らの人生と照らし合わせていた。
http://www.miyakomainichi.co.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=5705
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