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感謝の気持ちの力

記録に残しておきたい"あきらめない"粘り強さの背景。

感謝の気持ちの力をまたまた感じています。

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女子代表の澤「優勝するシーンしか想像できなかった」
女子ワールドカップ決勝 米国戦後選手コメント

2011年7月18日(月)

■澤穂希(INAC神戸レオネッサ)

なでしこジャパンがW杯初優勝、PK戦の末に米国を下す。澤(中央)はMVP、得点王を受賞した
なでしこジャパンがW杯初優勝、PK戦の末に米国を下す。澤(中央)はMVP、得点王を受賞した【Getty Images】

「優勝するシーンしか想像できなかった」

 最高の舞台で、最高の仲間と一緒にメダルを取れたのはうれしかったし、楽しかった。今日の決勝戦は優勝するシーンしか想像できなかった。日本が青のユニホーム、青のパンツ、青のソックスで戦って、表彰台の上でトロフィーを掲げるシーンまで鮮明に想像できていたし、ユニホームの色も含め、本当にそうなりましたね。また、今日は川澄にネイルを新しく塗り直してもらったんです。これをやる日は必ず点が取れるんです。

 今大会で優勝できたのは、中堅世代の選手たちのおかげだと思います。北京五輪の時もいいチームでしたが、あのころに若手と呼ばれていた選手たちが成長して、すごく頼もしくなりました。宮間や大野、近賀、矢野などの中堅世代が、さらに若い世代を引っ張ってくれて、わたしたちベテランの背中を押してくれました。彼女たちはピッチの中でも外でも、すごく頼もしいです。「なでしこジャパンは今までと何が変わったか」と言われれば、そこだと思います。MVPも得点王も、みんながいてくれたから取れた賞だと思う。本当に感謝しています。

 得点シーンは(コーナーキックのキッカーの)あや(宮間)に「ニアに蹴るから」と言われ、わたしが「一番前に行くからね」と返していたんです。ゴールにボールが転がっていて、みんなが喜んでるのを見て「あ、点が入ったんだ......」という感じでした。アメリカに対してゴールを取れたのがうれしいし、あそこで同点にできたのもすごくうれしかった。本当にみんなが最後まであきらめずに走り続けた結果が、優勝につながったのだと思います。みんなに感謝したい。

 W杯で優勝したわけですから、今後は日本の女子サッカーに向けられる期待のハードルは上がるかも(笑)。自分自身、18年間代表としてやってきて、苦しい時代も見てきています。ここに来るまで本当に長かったと思います。でも、こうやって自分が好きなことをやって、たくさんの人が笑顔になってくれたり、応援してくださったりするのはすごくうれしい。今後、女の子がサッカーをやれる環境がもっと整い、また、サッカーをやりたいと思う女の子たちが増えてくれればいいなと思います。

 帰国したらすぐにリーグ戦(24日、対ジェフユナイテッド市原・千葉)があります。休む暇もなくて、気持ちの切り替えも難しいんですけど、今度はなでしこリーグ優勝を目標にしていきたいです。北京五輪の時もそうでしたが、注目されたのは一瞬だけでした。それを持続させるためにも、自分たちがしっかり結果を残さなければいけないと思います。たくさんの方たちに女子サッカーのいいところを見ていただけるよう、足を運んでいただきたいと思います。

 そして、ロンドン五輪のアジア予選(9月)もすぐにあります。中1日、中2日などのタイトなスケジュールなので、しっかり体のケアをしてコンディションを整え、ロンドン五輪に出場したい。五輪でもみんなで力を合わせて、またメダルを取りたいです。W杯に優勝したらしたで欲が出てくるもので、五輪のメダルも欲しいなと思います。

■海堀あゆみ(INAC神戸レオネッサ)

「PK戦では自分の直感を信じて跳んだ」

 PK戦では自分の直感を信じて跳びました。優勝は「やればできる」という気持ちで目指していましたけれど、本当にできるとは半分思っていませんでした。この優勝で、日本の皆さんに元気や勇気を与えられたらと思います。

■宮間あや(岡山湯郷Belle)

「PK戦に入った時点で勝ち負けを気にしなかった」

 米国は後半の途中くらいから間延びしてきたけれど、彼女たちはそれを超える精神的なタフさを持っていた。なので、間延びした後も日本のゲーム運びをするのは難しかったです。でも、自分たちも『相手に負けない』という気持ちを強く持っていました。
 米国は攻めていたけれど、攻め急ぎすぎているかなと感じていました。立ち上がりからの激しい攻勢も、まあ想定通りでした。今日米国に勝てたのは、もちろん運を引き寄せることができたという面もあったと思います。

 PK戦ではわたしが1番目のキッカーでしたが、これは事前に決めていたわけではなくて、PK戦の直前に言い渡されたオーダー通りの順番です。PK戦はほとんどが運。PK戦に入った時点でもう、わたしは勝ち負けを気にしませんでした。

■永里優季(ポツダム/ドイツ)

「苦しい中で学んだことは大きかった」

 優勝は素直にうれしいです。大会を通して苦しい時期もあったけれど、その中で学んだことは大きかった。結果に対しては満足しているけど、プロセスに関しては自分の中で満足していない部分がすごく多い。今後、自分の成長につながる大きな糧となる経験になったと思います。

 ドイツで学んで得てきたプレーを、そのまま日本のサッカーに出すのはすごく難しいことだと感じました。日本のサッカーに合わせる部分と、ドイツで経験して得た部分、両方を一緒に表現するのはすごく難しい。1回優勝するのはまぐれでもできると思うけれど、2回優勝するのは本当の実力が必要。そういう意味で、自分たちに掛かるプレッシャーというのは今まで以上に大きくなると思うし、それを背負っていかなければならなくなったと思います。それはわたしにとってうれしいことだし、また、大きなチャレンジであると思います。

 今日の決勝は戦っている間、一度も負ける気がしなかった。チーム全体もそういう雰囲気だった。追い込まれる展開になればなるほど、自分の中で楽しくなっていった。そういう意味で、決勝の舞台はすごく楽しめたと思う。信頼して、いい時間帯に出してくれた監督にも感謝したい。この大会を通して、自分の成長を見守ってくれていたことにも感謝しています。

■岩渕真奈(日テレ・ベレーザ)

「責任を持ってやっていきたい」

 本当にうれしい優勝ですね。これから自分たちがサッカーをやっていく上で、いろんなプレッシャーも出てくると思うし、外国から日本を見る目というのも変わってくると思います。責任を持ってしっかりやっていきたいと思います。
 今日はボールに全然触れなかったんですけど、得点が必要な場面で投入されたので、点を取ろうと思ってピッチに入りました。

(女子W杯メンバー発表前は)なでしこジャパンにあまり入れていなかったので、この大会中に、本当にいろいろ勉強することができました。経験のある選手は本当に勝負強いし、自分も見習わなきゃなと思いました。この舞台を経験させてもらったわけですから、これからももっともっと努力をして、責任を持ってやっていきたいと思います。

■熊谷紗希(浦和レッズレディース)

熊谷のPKが決まった瞬間、駆け出そうとするなでしこジャパンの選手たち
熊谷のPKが決まった瞬間、駆け出そうとするなでしこジャパンの選手たち【Getty Images】

「まだまだ成長できるところがある」

 実はPKを蹴る前、自分が決めたら勝ちという確信がなかったんです。決めた後にみんながベンチを飛び出してきたのを見て、終わったんだなと分かりました。

 今日は相手のエース、アビー・ワンバックを相手に競ることもできたし、(ボールが来るコースを)読んで奪えたシーンもありました。自信にしていきたいです。1失点目のシーンは、13番(モーガン)をわたしとサメちゃん(鮫島)の間に置いていたんですけれど、パスを出される瞬間にバックするのが完全に遅れてしまい、わたしの背中側を速いスピードで走られました。間違いなく準備不足なので、今後に向けて修正しなければいけない。

 大会を振り返ると、やられたところは本当に顕著にやられました。それはスピードとクロスへの対応。この2つは、これから練習しなければいけないです。言い換えれば、わたしにはまだまだ成長できるところがある。それが分かって良かったなと思います。

■川澄奈穂美(INAC神戸レオネッサ)

「試合を楽しめた」

 優勝できてうれしいです。個人的に大会を振り返ると、準決勝で2得点だなんて、出来過ぎでしたね。クラブでサイドハーフをやっている経験を生かして、守備でも貢献できたと思います。

 2点目を決められた時には、ナガ(永里優季)と「これくらいの方が楽しいよね」と話していました(笑)。そういうふうに試合を楽しめたし、PK戦に入った時でも、追いついた日本と追いつかれたアメリカとでは、もう顔つきが違いましたよね。他国と比べたら、日本の選手の方が楽しそうにサッカーをしていると思います。

 W杯で優勝......こんな瞬間は、一生に一度あるかないか。本当に楽しかったです。帰国したら、すぐに暑熱対策をして、なでしこリーグの試合に備えます。しっかり準備したいです。

■安藤梢(デュイスブルク/ドイツ)

「自分の成長しているところを十分発揮できた」

 現在、わたしがプレーしているドイツで、日本のサッカーが世界一だということを見せられて、すごくうれしいです。今大会、無得点だったことはすごく悔しいです。個人的な課題はこれからチームに戻って修正して、自分を伸ばしていきたい。けれど、得点以外に『できた』と実感できることが、すごくたくさんあります。チームのために起点になって、チャンスを作れました。自分の成長しているところを十分発揮できたと思います。

 今大会では、強豪国に勝って自信がつきました。もちろんアメリカ、ドイツ、ブラジルは強いです。でも、次にこういった国と戦うときは、『こっちは世界一だぞ』という気持ちになるでしょうから、ますます負けるわけにはいかないですね。

■鮫島彩(ボストン・ブレイカーズ/米国)

「福島県の方々に『ありがとうございます』と言いたい」

 わたしたちの最後まであきらめないという姿を見せて、日本の皆さんに何かを伝えることができていたらいいなと思います。

 メディアの方々は、わたしのいろんな苦悩だとかを報道していただいていると思いますが、何か少し違うとも感じています。本当に周りの人が動いてくれて、(東日本大震災と原発事故の後)すぐにサッカーに打ち込める環境を整えてくれました。今のチームメート(ボストン)にも前のチームメート(東京電力マリーゼ)にも精神面でも支えてもらったし、たくさんのサポーターの方からもツイッターを通じて、いろんなメッセージをいただきました。

 わたしは、皆さんが作ってくれた環境の中で、自分が好きなサッカーをやってきただけというか......。なので、そういう方々に対して感謝の気持ちしかないですね。特に、福島県の方々に「ありがとうございます」と言いたいです。

■山郷のぞみ(浦和レッズレディース)

「今があるのは先輩たちのおかげ」

 サッカー選手にあこがれて、先輩たちの背中を追ってサッカーに取り組んできたわたしたちを、先輩たちがここまで引き上げてきてくれた。今のなでしこジャパンがあるのは、そんな先輩たちのおかげです。

 世界大会で優勝という結果を残すためには、誰かが我慢をしなければいけない。でも、このチームは不思議で、サブメンバーには変な態度をとる選手が1人もいませんでした。選手それぞれの思いを、"チームのため"に変えて挑んだ結果が優勝なんです。これがチーム力なんですかね。常に仲のいいチームでした。

 若い選手たちからすると、一気に頂点に登ってきたという感じかもしれません。でもこれからは、もちろんわたしも含めてなんですけど、"世界一"という看板を背負って、また新しいことに臨まなければならなくなりました。若手には、この経験というものを、絶対に次の世代につなげてもらわないといけませんね。

■岩清水梓(日テレ・ベレーザ)

 澤さんが延長後半にゴールを決めてくれて、助けられました。そのゴールの後は、ちょっとPK戦を意識しましたね。相手の攻めは、想像より速かったし強かったです。特にキックオフ直後から(チェニーに決定的なシュートを打たれ)面食らいました。わたしも寄せられる限り寄せたけれど、パワーで押し切られました。そのワンプレーで、「ぬるいプレーをしていたらヤバいな」って思いましたよ。

 世界には、大きくて速い選手がたくさんいますけど、個人的には単純なスピードとかパワーとかは、負けちゃいけないところだと思います。そこはこれからトレーニングしていかなきゃいけないところ。

 世界一になったという実感は、あまりないですね。1つの大会で優勝できたっていううれしさはあるけれど、それがW杯なんだなっていうふうに不意に思うと、本当にすごいことをしたんだなと思います。素晴らしい仲間がいる、このチームの一員になれて本当によかったです。

<了>

※コメント取材は澤、海堀、長里が砂坂美紀、それ以外は馬見新拓郎

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