センバツ開幕 石巻工、震災乗り越え21世紀枠
第84回選抜高校野球開幕。センバツスタート!
*****サンケイスポーツ******
センバツ開幕!石巻工主将が選手宣誓「見せましょう!日本の底力、絆を」
3月21日(水)
選手宣誓は21世紀枠で出場する石巻工の阿部翔人主将(3年)。「日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔。見せましょう!日本の底力、絆を。我々高校球児ができること、それは全力で戦い抜き、最後まであきらめないことです。いま野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います」と力強く宣誓。発熱のため20日のリハーサルを欠席したが、本番では被災した東北地方の感謝の思いを全国に届けた。
第1日は2年ぶり11度目出場の三重(三重)と初出場の鳥取城北(鳥取)が対戦。第2試合は関東王者の浦和学院(埼玉)と北信越王者の敦賀気比(福井)が激突する。第3試合は好投手対決で1回 戦屈指の好カードの大阪桐蔭(大阪)-花巻東(岩手)。
石巻工、震災乗り越え21世紀枠/センバツ
地元の期待を背負い、あこがれの舞台に立つ。第84回選抜高校野球(3月21日開幕、甲子園)の出場校が27日、大阪市内で開かれた選抜選考委員会で決定し、石巻工(宮城)が21世紀枠で春夏通じて初の甲子園出場を決めた。昨年3月の東日本大震災では大きな被害を受け、さらに同9月は台風による被害にも見舞われた。ボランティア活動で地元を励まし、昨秋の宮城県大会で準優勝し、初めて東北大会に出場したことが評価された。石巻市の学校としては、48年夏の石巻以来の甲子園出場。東北地区からは4校が選出された。組み合わせ抽選会は3月15日に行われる。
震災で傷ついた街の思いを石巻工が実現した。午後3時1分。小黒秀紀校長(59)と握手を交わした松本嘉次監督(44)は、黙ったままだった。「言葉が出なかった。皆さまの思いを感じることが出来た瞬間です。この地区の悲願ですから」。数学の授業中だった阿部翔人主将(2年)は、担任から「選ばれたぞ!」という言葉を聞くと、左手でそっと涙をぬぐった。「みんなで『地域のために』と言ってやってきた。うれしい」。あの日からの322日が、走馬灯のようによみがえった。
諦めない気持ちが、甲子園への道を切り開いた。震災で津波被害を受けたグラウンドは、9月の台風で再び冠水。支援物資のボール300個は、使い物にならなくなった。2度の天災。だが、選手の心は折れなかった。津波で自宅が激しく損壊した阿部主将は「もういい...と思ったけど、2年生が率先してやらないといけない」と前に進んだ。支えは、家族、仲間、地元の後押しだった。
それは、試合にも表れた。「諦めないと口で言ってたけど本当に諦めなくなった」(松本監督)。秋の公式戦で勝った6試合中4試合が2点差以内。以前なら落としてもおかしくない試合を、ものにしてきた。「(以前は)こんなやつらじゃない。こんなとこで終わっちゃだめだという気持ちがあった」という教え子たちは、たくましかった。
昨年12月のある日。松本監督からの「奇跡ってあると思うか?」という問いに、誰1人として「はい」と答えなかった。厳しすぎる現実を乗り越えてきたからこそ、出た答えなのかもしれない。奇跡があるなら優勝できた-。そう思えたから、厳しい寒波が襲う冬場の練習にも熱が帯びた。
石巻高が出場した48年夏は、新制高校になった第1回大会。半世紀以上の時と未曽有の大震災を経て、石巻の球児が再びあの黒土を踏む。阿部主将は「震災枠と思われる部分もあるかもしれないけど、地域の人のためにも精いっぱい頑張りたい」と結んだ。グラウンドには「あきらめない街・石巻!! その力に俺たちはなる!!」。石巻工の戦いは、石巻の戦いでもある。【今井恵太】
<石巻工の震災後>
◆11年3月11日 東日本大震災発生。野球部員は校舎で一夜を明かす。校舎は約1メートル70センチ、グラウンドは1メートル30センチ、水につかった。
◆同13日 学校を脱出し、避難所や自宅に向かう。
◆同22日 野球部は学校に集合し、翌23日から泥かきを開始。米軍や他校の野球部などが手伝ってくれた。
◆4月21日 グラウンドで練習を再開。
◆同26日 利府(宮城)と震災後初の練習試合を行い、8-10で敗れる。
◆同29日 震災後、自校では初の練習試合を石巻と行う。
◆7月22日 夏の宮城大会4回戦で利府に2-3で敗れる。
◆9月21日 台風15号の影響でグラウンドが再び冠水。復旧に2日を要す。
◆同27日 秋季宮城県大会準決勝で石巻商に3-1で勝利。創部49年目で初の東北大会出場を決める。
◆11月16日 21世紀枠の宮城県推薦校に選出される。
◆12月15日 東北地区推薦校に選出される。
◆12年1月27日 創部49年目で、春夏通じて初の甲子園出場が決定。
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