台風17号被害状況 沖縄タイムスより
初めて」
八重山から沖縄全域を暴風域に巻き込みながら、駆け抜けた台風17号。建物の屋根、屋上の給水タンクが吹き飛ばされ、電柱も倒壊し、過去最大の停電を招いた。住民らは「これだけの被害は初めて」と恐怖と驚きに包まれつつ、週末ばかりに襲来する"台風銀座"にうんざりした。
最大瞬間風速61メートル超を観測した那覇市。29日午前8時半ごろ、那覇市樋川の農連市場で、建物天井を覆うトタン屋根が吹き飛び、市場内は風雨で水浸しになった。
目撃した女性(60)は「ものすごい音がした。こんなことが起きるのは初めて見た」。野菜を売る60代女性は「今後、商売をどうするか」と頭を抱えた。
名護市大南の21世紀の森体育館では同日午後3時ごろ、トタン製の屋根が吹き飛ばされ、体育館そばに落下。けが人はなかったが、館内フロアの半分が水びたしになった。
体育館は築20年。2年前に屋根を改修したが、管理担当の新城光さん(38)は「しばらく使えなくなる。今後の予定がめじろ押しで利用者も残念がる」と肩を落とした。市教委も「修復も大がかりになる」。
伊平屋村では県道179号沿いの電柱が数十本倒壊し、一部で通行止めとなっている。村役場によると、家屋は少なくとも7軒が半壊。村役場も2階の窓ガラスが数枚割れた。伊是名村でもプレハブなど2軒の全壊が確認された。
読谷村楚辺では、村商工会駐車場内の物置小屋が高さ約1・5メートルのブロック塀を越えて、道路に逆さまになって倒れた。電線や隣の民家の屋根にも小屋の一部がかかり、中にあったいすなどが散乱。隣家の池原正雄さん(61)は「怖くて、さらに倒れてこないように祈っていた」と話した。
本部町谷茶の県道219号では土砂崩れが発生。木や岩などが片側車線をふさぎ、通れなくなった。近くに住む70代女性は「16号でも同じ場所で倒木した。台風のたびに心配」と不安げに話した。
名護市大東では3階建てアパート屋上の大型水タンクが強風で約40メートル離れた市道に落下。那覇市泊の国道58号では4トントラックが強風にあおられて横転。同市おもろまちや与那原町東浜でも車両が倒された。
与那原町上与那原では、木造平屋が全壊。隣接する土木業社員によると、空き家のため、人身への被害はなかった。
骨折や裂傷 50人けが
県防災危機管理課によると、台風17号によるけが人は29日午後8時現在、転倒による骨折など少なくとも50人にのぼった。
南城市佐敷の50代女性は29日、強風で閉まるドアに指をはさまれ、人さし指を切断。沖縄市上地の60代男性も同様に骨折した。
名護市の70代女性は風にあおられて転び、大腿(だいたい)骨を折り、沖縄市知花の80代女性も足を骨折した。
国頭村宇良では、女性(68)が自宅の窓ガラスが強風で割れ、顔や頭を裂傷し、病院に搬送された。ほか、糸満市潮平では男性(45)が割れたガラスで頭部を損傷。
糸満市大里では男性(65)が屋根から落ちてけがをし、浦添市の70代男性は転倒して顔面や右手を負傷するなど、各地で被害が多発した。
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