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「名声はいらない」...ピストリウス もっと大事なことに目を向けているもの

**********ピストリウスへ栗田智美さんからのコメントです*********

「有名になったことをうれしいとは思っていない。子どもからもらう手紙の方がうれしい。・・・速く走るには厳しい訓練しかない」ピストリウスの言葉には重みを感じます。

ピストリウスはもっと大事なことに目を向けているもの。

生身の体は血が通い神経で繋がっている。血が通わず神経がなく感じることも踏ん張ることもできない義足を装着し,見た目で体の一部のように使いこなすまでにどれほど訓練している事か・・・。

義足で走る訓練の厳しさを両足があるマイケル・ジョンソンが理解するのは難しいかもしれない。

オスカー・ピストリウスは両足で走る人の訓練の厳しさを実際に経験していない。それでも厳しさを認めて,自分への挑戦として走り続けている。そこが素晴らしいと思います。

オスカー・ピストリウスはマイケル・ジョンソンより速く走ることではなく,今までの自分より少しでも速く走ることを純粋に目標として訓練を続けている。

両足がある人に,両足がない人のバランスを保ち走ること,瞬発力を身に着けるためどれほど厳しい訓練なのか説明しても実際にはわからない。

それぞれが自分の中で目標をもち,自分を訓練し成長し続けることに意義があると思います。

自分にではなく,他の人に目を向けると「義足が有利になっているのでは・・」と疑問も・・・。

「精巧な用具の「助力」を得て健常者の選手に挑む試み」なんてピストリウスは少しも思っていないです。

他の人へ挑むのではなく,自分への挑戦ですもの。

走るだけでなくピストリウスは日々の生活全体で,両足が自由に動く人と行動するのにも自己鍛錬と訓練があってこそですもの。

マイケル・ジョンソンとオスカー・ピストリウスとでは走る意義や目標が違うように思います。

栗田智美

**********毎日新聞***********

五輪陸上>「名声はいらない」...ピストリウス、義足の挑戦

<五輪陸上>「名声はいらない」...ピストリウス、義足の挑戦
ロンドン五輪での抱負を語る南アフリカの五輪に出場する初の義足陸上選手として世界の注目が集まっている=ロンドンで2012年8月1日、佐々木順一撮影

 3日に始まった「五輪の華」陸上競技で、ロンドン五輪有数の注目選手が登場する。両脚が義足の陸上短距離走者、(25)=南アフリカ。彼の出場は障害のある競技者が世界最高峰を目指す崇高な挑戦なのか、それとも精巧な用具の「助力」を得て健常者の選手に挑む試みなのか--。

 ◇賛否渦巻く1600メートルリレー出場

 五輪開幕を控えた7月中旬。英紙デーリー・テレグラフによると、400メートル世界記録保持者のマイケル・ジョンソン氏(44)は、ピストリウスの五輪出場に疑問を投げかけた。障害を乗り越える努力は称賛しながらも、「義足により有利になっているのかどうかが、明確になっていない」と指摘。現時点で出走を認めることは、他の選手に対し「アンフェア」と断じた。

 一方、英国を代表する中距離ランナーだったロンドン五輪組織委員会のセバスチャン・コー会長(55)は受け入れる立場だ。「パラリンピックで結果を残しているし、ロンドンの観衆は大歓迎するだろう」

 ピストリウス自身も「記録の向上は厳しい練習のたまもので(義足の)性能が変わったわけではない」と話す。ここ数年は義足のタイプを替えておらず、推進力に助けられているわけではないと主張する。

 先天性障害のあるピストリウスは、生後11カ月で両脚の膝から下の切断を余儀なくされた。義足で生活を続けていたが、ラグビーをしていた際のけががきっかけで、陸上へ転向したのは04年1月。その年の9月のパラリンピック陸上200メートルで金メダルを取り、あっという間に障害者スポーツの頂に達した。

 だが健常者の大会に足を踏み入れると、障壁が立ちはだかった。国際陸上競技連盟は08年1月、弾力性のあるカーボン繊維性の義足が推進力を与え、規則に抵触すると判断。健常者の大会へ参加を認めないと決定した。ところがスポーツ仲裁裁判所は4カ月後、「有利であると十分に証明されていない」と決定を覆した。

 なぜ見解が分かれるのだろうか。国際パラリンピック委員会の国際技術委員、三井利仁さん(48)は、義足の素材や硬さの規制が整備されておらず、「ルールが現状に追いついていない」問題点を取り上げる。一方で義肢メカニックの沖野敦郎さん(33)によると、義足を体の一部として使いこなすことは非常に難しいという。沖野さんはピストリウスを、パラリンピック界で「(100メートルと200メートルの世界記録保持者)ボルトのようにずばぬけた存在」と表現する。

 今五輪ではピストリウスが1600メートルリレーで、どの順番を走るのかについても関心が集まる。11年の世界選手権予選では第1走者を走ったが、義足のランナーは通常、スタートを苦手とする。第2走者以降も検討されているが、バトンの受け渡しをめぐるレーン争いが激しく、接触や転倒の恐れも出てくる。

 賛否両論の中、五輪に初登場するピストリウス。400メートル自己ベストの45秒07は、昨年の世界ランキング22位に相当した。本人も「準決勝へ進み、好記録を残せれば十分。ゴールは(4年後の)リオ五輪」と、発展途上であることを自覚している。

 ピストリウスの活動の陰では、スポンサー契約を結ぶ義足メーカー「オズール社」の存在が大きい。片足100万円近くする義足を提供され、天候などに合わせて、パーツを取り換えているという。71年創立の同社はアイスランドの首都レイキャビクに本社を置き、世界に従業員約1800人を持つ。同社によると、7~8割のパラリンピック選手へ義足を提供している。

 ピストリウスを支えるスタッフには、英国の広告代理店も加わり、イメージ戦略に力を入れる。1日の記者会見では、色刷りの冊子が用意され、義足が推進力になっていない点をアピールしていた。

 その会見で米経済紙記者がこう尋ねた。「あなたの商品価値はいくらなの?」

 ピストリウスはストレートには答えず、次のような言葉を吐いた。

 「有名になったことをうれしいとは思っていない。子どもからもらう手紙の方がうれしい。なぜなら、名声を手に入れても速く走れないからだ」

 そして、言葉をつないだ。

 「速く走るには厳しい訓練しかない」

 4日午前(日本時間午後)に行われる男子400メートル予選。五輪史上初の義足ランナーがロンドンの五輪スタジアムを駆け抜ける。【大前仁、井沢真】

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