熱中症対策に助けになる情報
暑さに体を慣らす運動を 梅雨時から始める熱中症対策
6月18日(水)
蒸し暑い日が続いている。熱中症は真夏だけのものではなく、梅雨の時期から気をつける必要がある。湿度が高いうえ、暑さに体が慣れておらず、熱中症になりやすいためだ。こまめに水分補給するなどの対策を取りつつ、暑さに体を慣らす運動に取り組みたい。(竹岡伸晃)
◆高湿度で調節不良
熱中症とは、(1)体温調節がうまくできず、高体温になる(2)体温調節の結果、水分やナトリウムが不足する-ことによって引き起こされる体の障害。気温や湿度が高い▽風が弱い▽日差しが強い-などの環境下で発症しやすくなる。
症状は重症度によって、I~III度に分けられ、I度=めまいや立ちくらみ、こむら返りなど▽II度=頭痛や吐き気、倦怠(けんたい)感など▽III度=けいれんや意識障害、体が熱くなる高体温など。症状によっては病院に行ったり救急車を呼んだりする必要がある。
総務省消防庁の統計によると、昨夏(6~9月)、熱中症で救急搬送された人数は5万8729人で、このうち6月は4265人。今年も既に3188人が救急搬送されている(5月19~6月8日、速報値)。
横浜国立大の田中英登教授(環境生理学)は「5月の連休明けから患者は増え始め、6月の梅雨の時期も注意が必要」と話す。7月半ば頃であれば気温30度以上で患者が増え始めるが、6月だと「27度程度でも熱中症になるリスクがある」。
理由の一つが梅雨時ならではの高湿度。人間は汗をかいて体温を調節するため、汗が蒸発しにくい状況では熱中症になりやすい。「暑さに体が慣れていない」というのも大きな要因だ。暑さに慣れていないと汗をかきにくく、体温が上昇して熱中症になりやすいという。
◆水分補給も忘れず
予防策は-。
暑い日には、室温が28度を超えないようエアコンや扇風機を上手に使う▽風通しの良い服装を選ぶ▽外出時は帽子や日傘を使う▽ぬれタオルや冷却剤で体を冷やす▽規則正しい生活を送る-などを心掛ける。水分補給も重要で、田中教授は「3度の食事をとったうえで、1時間に1回程度、コップ半分~1杯の水や麦茶などを意識的に飲んでほしい」とアドバイスする。
それほど暑くない日や早朝、夕方などを選んで、暑さに体を慣らす(暑熱順化)ための運動にも取り組む。具体的には、汗ばむ程度の「ややきつい」ペースで30分程度のウオーキングを行う。「歩く時間を短くする、強弱をつけて歩いたりするなど、無理をせず、できる範囲で続けることが大切」(田中教授)
「2日に1度・1回30分」の頻度で運動を行った場合、2週間程度で効果が出始める。運動ができない人の場合、ぬるま湯につかる半身浴で汗をかくだけでもいいという。
暑さに慣れると、(1)血液の量が増え、汗をかきやすくなる(2)汗をかいても体にとって必要なナトリウムが失われにくくなる-ため、熱中症の予防につながる。
運動時にも水分補給は不可欠。田中教授は「ウオーキングの前後に、ナトリウムや糖分が含まれたスポーツドリンクをコップ1杯飲むのがお勧め」と話している。
■子供、高齢者は特に注意
熱中症では特に高齢者や子供への対策が必要だ。
高齢者の場合、(1)暑さを感じにくい(2)喉の渇きを感じにくい(3)汗をかきにくい(4)体に含まれる水分の割合が小さい-ため、熱中症になりやすい。京都女子大の中井誠一名誉教授(運動生理学)は「自分の感覚に頼るのではなく、温度計や湿度計で室内の状況をチェックしてほしい。エアコンを使って室温を28度前後に保ち、こまめに水分補給することも重要」。
一方、子供は体温調節能力が十分に発達しておらず、身長が低いため、地面からの輻射(ふくしゃ)熱の影響も受けやすい。中井名誉教授は「外出時、休憩や水分補給の時間を設けるなど、保護者など周囲の大人が気をつけてほしい」とアドバイスしている。
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