どれほど深刻な状態になるか
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福島第一原子力発電所の事故の影響で高濃度の放射能汚染水が海中に流れ出ていることに関して心配されているメールを読ませていただきました。
東京電力の今回の対応も不信が募っておられる避難所での様子も伝わってきました。
社会的な強者といわれている経済界の談合がさらに地球環境を破壊していくように感じます。
海そのものには素晴らしい循環があると思います。
確かに人間の体にも回復力があるように自然界には素晴らしい回復力があると思います。
秩序があり循環があり素晴らしい回復力があると言え,放射能汚染水をどれほどの量を出すか・・・考えると海洋生態系へ影響が出ないことはないです。
食物連鎖を考えも,人間がこれまでしてきた環境破壊による深刻な問題が生じていますが今回,放射能汚染水がどれほどの量で放射性ヨウ素濃度を正確な情報を公開していく必要があると思います。今後の海洋生態系に影響を与えないことはないですが,どれほど与えるかを認識していくことが必要だと感じています。
これまで人間が利益追求の目的のためかなりの公害によりすでに汚染されてきたのは事実だと思います。しかし放射能汚染水が海中に流れることにより,さらにどれほど深刻な状態になるか今,謙虚な心で考える時だと思うからです。
被災地で読まれることを考えますと,客観的に伝えている記事が役立つと思います。
*******ナショナルジオグラフィック公式日本語サイトより*****
放射能汚染水、海洋生態系への影響は?
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現在も冷却作業が進められる福島原発。淡水を積んだバージ船を曳航する船から撮影(3月31日)。 (Photograph from Japan Maritime Self-Defence Force via Reuters) |
「New York Times」紙によると、福島原発付近の太平洋沿岸で海水調査が3月23日から開始され、セシウム137、ヨウ素131をはじめとする放射性同位元素の濃度上昇が確認された。
陸海を問わずすべての生物が一定量の電離性放射線を自然に浴びている。高周波の放射線は高エネルギーのため、被曝するとDNAの損傷を招くが、軽度のDNA損傷であれば自然に治癒する。だが、人工放射線は大量に被曝すると修復は困難になりやすい。
原発周辺の海水の放射能濃度は日ごとに変動していたが、3月30日には法律で定めた濃度限界の3355倍に相当するヨウ素が検出されたと、原子力安全・保安院はAP通信に述べた。
4月1日現在、これは事故後最高の数値で、放射性物質の海への流出を示すという。だが、汚染水のルートは複数あるとみられ、流出源は突き止められていない。また、3月28日には安全基準の20倍にあたるセシウムも検出されたと「New York Times」紙が伝えている。
◆放射能による遺伝子の突然変異
「放射性物質が海洋に入ると、生物にさまざまな影響を及ぼす可能性がある。死滅の直接的な原因となる場合もあれば、奇形の発生や、食物連鎖を通じて体内に蓄積する"生物濃縮"を起こす場合もある」とアメリカ、ニューヨーク市立大学リーマン校海洋河口研究所(Laboratory for Marine and Estuarine Research)所長のジョセフ・ラクリン氏は警鐘を鳴らす。「ある一定量の死滅を招く可能性がある。さらに心配なのは被曝による遺伝的な影響だ。遺伝子の変異によって繁殖率が低下する恐れがある」。
一方、コロラド州立大学の放射線生態学者F・ワード・ホイッカー氏はメールでの取材に対して次のように述べる。「現時点で確認されているヨウ素とセシウムの濃度レベルは、大量死や繁殖率の低下を招くほどではない。炉心損傷による放射能漏洩で、太平洋岸沖の広い範囲で海洋生物へ直接的な影響が出る可能性はまずないとみている。また、法令基準で海洋生物への影響をはかることは意味が薄い。リスクを正確に知るには、福島第一原発周辺の海水や魚類などの実際の放射性ヨウ素濃度を把握することが重要だ」。
◆放射能の影響を最も受けるのは?
福島原発周辺の放射能汚染が今後も広がれば、海洋生物へ影響を与える可能性はあるとホイッカー氏は指摘する。「最も可能性のある影響は、周辺に生息する魚類の繁殖率低下だろう。海洋生物の卵や幼体は放射線の影響を非常に受けやすく、DNA変異が起きる可能性がある」。
前出のラクリン氏は次のように予測する。「DNAが変異した生物の大部分は生存し続けることができないが、一部の変異は次世代に引き継がれる。どちらにしても、被曝により長期生存能力が損なわれる可能性が高い」。
◆放射能の影響は一時的?
フロリダ州立大学の海洋化学者ビル・バーネット氏は、「海洋生物が決定的な悪影響を短期的に受ける可能性がある」と話す。「ただし、ヨウ素は半減期が8日間と短いため、放射能汚染水の漏出を止めることができれば一時的な問題で済むだろう。だが、セシウムは半減期が約30年と長いため、影響の長期化が懸念される」。
◆食物連鎖による放射能濃縮
ラクリン氏は別の問題点として、「海藻や植物プランクトンを海洋生物が摂取した場合、食物連鎖を通じて放射性物質が濃縮、蓄積される」可能性も指摘している。
◆放射能に対する海の回復力
最後にホイッカー氏は、「放射性物質は海流の循環により拡散して希釈される」と述べる。「時間の経過と共に放射能が減衰し分散すると、周辺海域の状態は改善する可能性がある。海には自然の回復力があるといえる。ただし、流出による海洋生態系への影響はこれまでほとんど研究されていない。有効なデータといえば、1950~60年代に太平洋で英米仏が盛んに行った核実験データ程度だろう」。
ラクリン氏も次のように警告する。「短期間であれば問題はない。だが、漏出が数カ月も続くようであれば、日本政府は海洋生物への影響をより深刻にとらえ、対処しなければならないだろう。海岸はチェルノブイリのように石棺で封じるわけにはいかないのだから」。
Christine Dell'Amore for National Geographic News
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