「足の痛みはありますが、痛くても不満はありません」
兄が「足の痛みはありますが、痛くても不満はありません」と答えた理由
兄の目が飛び出るような症状を見ると私も最初はとても驚いたのですが、激しい痛みがずっと続くのではなく神経の痛みが収まるといつもの目に戻ります。
今回も昨日まで飛び出していた兄の目も今日はいつもの感じです。
ご家族が身体の肢体の一部を切断しなければならない...と説明を受けた方との面会でした。
簡潔に兄のこれまでの経緯と兄の答えの背景をお知らせします。
兄は事故後最初の手術は本人の意識がない状態で命を救うための救急医療センターでの緊急手術でした。その後、緊急医療センターから病院内に義肢装具を製作する長野県総合リハビリセンターへ転院。両足断端部が安定するまで残された部分の身体が弱ってしまわないような訓練をし、それから義足ができて歩行訓練。
しかし歩行訓練をすると、断端部に痛みが出て義足が装着できない状態になり、その後、所沢の国立リハビリセンターへ転院。検査をして最初の手術が命を救うことを優先させた緊急手術なので、義足を装着して歩くと切断部の骨が喰い込んでいるので痛いのは当然と言われ、両足の断端部の骨の角を削る手術が必要との説明。
しかし、断端部の骨の角を削る手術をしても、兄のようにひざ下で両足義足を装着すると痛みがどうしても出るので両足大腿部で切断し、両足大腿義足を装着すると痛みが軽減できると言われ、両方大腿部から手術しましょうと、言われました。
兄はドクターからそのように言われた時は衝撃を受けていました。「せっかく膝があるのに、痛みをなくすために大腿部から切断することはしたくない」と、兄が言うと「両足義足でひざ下のすねは"弁慶の泣き所"と呼ばれるほどぶつけると痛い部分に硬いソケットが当たると痛いし摩擦で滑膜トラブルが生じやすくなるので、大腿手術が無難と思う」と言われました。
それで「一晩考えさせてください」と、兄は返事をしました。
そして翌日「膝を残してください」と兄の意思を伝えると「両足ひざ下の骨があたるので痛みが続きますよ。痛くてもいいですか?」と言われ「はい」と答えたのです。
大腿部からの切断をしなければならない病気の場合は、それを受け入れる必要があり選択肢がない場合もあると思います。
兄の場合は国リハのドクターより両足なので大腿部切断をかなり強く勧められました。しかし、兄自身が、それまで結果を考える習慣があったので自分の意思で大腿部からの無難な手術ではなく、痛みはあっても「膝下をできるだけ残してください」とお願いしたのです。
(実際兄も大腿部切断でコンピューター制御された油圧調整の膝機能を組み合わせた義足を薦められていました。)
それぞれ人によって関係する要素が異なりますので、どちらを選択するかその方自身がよく考え、調べて決めることだと思います。兄は自分で大腿切断ではなく痛みはあっても膝下を残すことを選択したのです。それで兄は「痛みはありますが、痛くても不満はありません」と。
兄はケガや病気に直面している方よりラシーマへ連絡がある場合面会により、自分の経験したことで役立てるならと、社会貢献の一環として退院後ずっと面会に応じています。
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